なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

金漢一 朝鮮高校の青春 光文社

朝鮮高校の青春 ボクたちが暴力的だったわけ

朝鮮高校の青春 ボクたちが暴力的だったわけ

 

朝鮮高校の寮生活ぶりを面白おかしく書いてあって楽しめたけれど、副題の「ボクたちが暴力的だったわけ」は何だか上手く逃げたなって印象は否めない。筆者は仙台の朝高にいて、週末ごとに先輩の命令で町に繰り出して、喧嘩を吹っかけていたわけだけど、ただ「先輩の命令で仕方なく」って笑って言われても、暴力は受けた方は許せないと思うのけど。それはともかく、寮内の死亡事故でも軽く触れる程度で終わっていて、そこだけ歯切れが悪いので、余計印象に残ったなぁ。この副題はいっそないほうが良かったかも。いろいろシガラミというか大人の事情があるのは察せられます。

でも、自分が何者であるかという問いかけやそれに対する答えは人の数だけ違ってくるんだなぁーと思った。民族学校で生活してきた人と日本の学校教育を受けていた人とはやっぱり置かれる状況において考え方も自ずと違ってくるみたいだし。どっちがいいかってのは一概には言えないけれど、親が育った国の文化や言葉は知らないよりも知っていたほうが良いに違いないなぁと思った。

在日朝鮮人の普段の生活ぶり、朝鮮学校の様子などはあまり知る機会もないので、それを知るには良い一冊だと思う。