なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

嶽本野ばら 下妻物語完 小学館

タイトルに「完」と敢えて付けたのが、美意識の表れかもしれない。
ここで打ち止めにしておいて良かったよ、読後真っ先に思った。桃子の口調がちょっと妙な感じだよー。ロリータが語尾に「にゃ」なんて付けてはいけないよ。下妻テイストになってきてんのかにゃ。多分、前作はもっと孤高なロリータ魂を炸裂していたのに。
桃子が、イチゴや警備員との間で育まれるのは、むっちゃ義理人情上等な世界にどっぷり浸かることで、自分の行き先を見定める描写なんて、正統派の青春小説ですよ。浪花節世界ですよ。でも、ロリータなのよね。野ばらの世界は、あんまり汗の匂いが感じないと思っていたけど、これは汗だけでなく埃まみれにすらなっているし。ちょっと趣が違うような気がするけど、これもありだなぁ。でも、これで「完」で良いのかもしれない。夢見る少女でいられないのですよ。自分で夢を形にしてかないと、それが大人になるってことなんだと力入れて語っているような気がする。