なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

ベルリン・フィルと子どもたち

2004年 ドイツ 配給:セテラ 時間:105分
監督:トマス・グルペ,エンリケ・サンチェス・ランチ
出演:ベルリン在住の250名の子どもたち、サー・サイモン・ラトル、ロシウトン・マルドゥーム、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

KAVCにて鑑賞

タイトルの「子どもたち」にちょっとだまされました(笑) 年端もいかぬ子供だったら、これはきっと微笑ましいドキュメンタリになったことでしょう。このドキュメンタリに登場している子供達は思春期まっさかりの中高生で、しかも外国から移住してきた人が通うらしい学校の生徒のようです。

ベルリン・フィルの演奏と音楽を可能な限り広く一般にも知ってもらうために始められた。その目的は音楽を、すべての年代や様々な社会的、文化的な背景や可能性を持った人々に、熱心に且つ創造力をもって親しんでもらうことだ公式サイトより
これが教育プロジェクトの目的なので、選ばれたのでしょう。

ダンスの振付師は、手取り足取り教えるわけではなく、生徒の自主性、感性に重きに置いた指導をしているのに驚きました。あくまでも、対等の立場で話そうとする姿勢に感服しました。それに大して応えようとする生徒、言われていることが全くわからない生徒と別れていきます。与えられたチャンスを自分のものにしようとする子と、最初に1歩に踏み込めず、おじづけづいてしまう子。たかだか、ダンスのレッスンかもしれないけれど、そんな些細なことが積み重ねで生きていくことって変わるんじゃないかなぁと思いました。音楽やダンスだけがその可能性を広げるわけじゃないけれど、それが選択肢の1つに加わるということは貴重なことだと思う。そこから外の世界に目を向けて、自分の可能性を考えることができるわけだし、それに早く気づいた子達はとても幸せなことだと思うし、無論後から気づいたって遅いってことはないと思う。

そしてストラヴィンスキーの「春の祭典」に乗せて、繰り広げられるダンスはとても見ごたえのあるものだった。これだけでも見る価値はあるし、本番に至るまでの関係者の葛藤を見ることによって、その意味は感慨深いものになるはず。