なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

ニワトリはハダシだ

2003年 日本 配給:ザナドゥー 時間:114分
監督:森崎東 出演:肘井美佳/浜上竜也/原田芳雄 他

前もってもらったチラシには「日本のタブーに挑む衝撃の問題作!」と、なかなか刺激的な煽り文句が踊っている。確かに、知的障害者(主人公のサムは自閉症児っぽい)、在日朝鮮人、警察の汚職問題とこの作品に詰め込まれているテーマは重すぎるし、正直あんまり消化しきれていないと感じた。特に、検察庁も巻き込んでいる汚職事件のあらましがもう1つ曖昧で、そこにいきなりサムが放り込まれてきたので、めんくらってしまった。それにしては、余り緊迫感が感じられないのだ。微笑ましく思えるので不思議な雰囲気。

舞鶴の風景と一緒に語られる舞鶴の歴史には初めて知ることもあった。この土地でこの作品が作られた意味もよくわかる。でも、それがブツきりになってしまい、上手く絡んでいないのが、とても惜しいと思う。

それでも、この作品は面白かった。多分、サムの回りの家族がとてもたくましく、したたかに生きているということを感じさせられたからかも。当たり前の生活をしていくことは、実はとても難しいことなのかも。ある日突然何者かに壊される可能性もあるだろうなぁと思いつつ、原田芳雄の親父っぷりには楽しめさせてもらった。うま過ぎですよ。みんな、がっつり組んで仕上がった感じで、心意気が充分伝わってくる。だから、消化不良気味であっても、そこから伝えたいものがこちらも受け取ることができるのかな、と思った。

第七藝術劇場で鑑賞。大阪の人はノリがよろしいなぁ。笑いの渦でしたよ。この劇場で観るのにふさわしい作品だと思う。