なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

荻原浩 明日の記憶 光文社

明日の記憶

明日の記憶

若年性アルツハイマーと診断された広告代理店の営業部長。今日あったことを忘れないためにひたすらメモを取る。そのメモで背広のポケットはパンパンと膨らんでいる。診断されてから書き始めた備忘録。日が経つにつれて、段々と漢字が減り、平易な表現になっていく。読み進んでいくごとに胸が詰まってくる。それが、決して良くなる病気ではないとわかっているが、それでも一日でも遅くなるようと必死で食いしばる姿に何と言葉をかければいいのだろう。
ラストはとても残酷だ。でも、それはとても美しい風景の中での2人だったろう。
ちょっと不満だったのが、妻の枝実子と一緒に病気と向き合っていく姿を書いて欲しかったってこと。あれじゃ、枝実子さんがあまりにもかわいそう(涙) アルツハイマーはそういう病気ではあるのはわかっているんですが。あのラストから始まる生活を考えるとねー、何だかたまらない気持ちにさせられる。

本屋大賞にもノミネートされている。私の一押しは飯嶋和一だけど、この人も良いところまでいくんだろうなぁ。