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どうってことない日々のあれこれ

諸永裕司 葬られた夏 追跡下山事件 朝日新聞社

葬られた夏―追跡・下山事件

葬られた夏―追跡・下山事件

先日読んだ森達也の「下山事件(シモヤマ・グース)」を読んで、参考までに読んでみた。こちらはあくまでも「下山事件」がメインであるから、絞ってあって読みやすい。森達也がああいう形で描いたのは、こちらが先に出版したからでそれは仕方がないことなんだけど。この著者の中で森達也に対しての言葉が余りに少ないというか無いに等しいのは記者としてはどうなんだろうかと思う。確かに「下山事件」を取材する事には誰かに許可を得て始めるようなことじゃないかもしれないけど、それでも一緒に仕事を進めた仲間としては一言あってしかるべきじゃないかなぁーと。

それはともかく、地道な取材の過程による事実の積み重ねなどを丁寧に描かれていて読みやすい。巻末の参考文献に並んだ多数の「下山関連本」を眺めると、こんなに多くの人達が関心を寄せていても真相は闇の中であることに、その深さに得たいの知れない恐さも感じる。それでも薄皮を剥ぐようにではあるが、ちょっとずつ新しい発見があることは、関係者が自分の抱えている秘密の重さに耐えられないからなのかなぁとちょっと荷を軽くしたくなったりってのもあるのかもしれない。