なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

乃南アサ 晩鐘 双葉社文庫

晩鐘〈上〉

晩鐘〈上〉

晩鐘〈下〉

晩鐘〈下〉

殺人事件の加害者・被害者のそれぞれの家族の心情を描いた「風紋」の続編。前作は被害者家族の娘真裕子に希望の光をちらっと当てていたけれど、数年経ってもやはり彼女は傷を癒せているわけではなかった。それを救おうとする記者と出会って1歩前進していくけれど、加害者家族の子供は負の連鎖に巻き込まれていくのは読んでいて辛かった。あの結末では救いがなさすぎる。
記者にしても、自分の手がけた仕事によって持たされた結末によって、マスメディアの力というかその反響の強さが及ぼすものを改めて認識させられたのではないのか。これで真裕子との関係にも影響がでてくるんじゃないかなぁ。誰にしても、あまり良い方向へ向かわないんじゃないかとすら思えてくる。
大輔が自分の父親に向かった放つ一言が余りにも重すぎる。彼は子供の一言で自分の犯した罪をようやく認識したかもしれない。