なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

瀬尾まいこ 図書館の神様 マガジンハウス 

図書館の神様

図書館の神様

デビュー当時の吉本ばななを彷彿とされる文章だなぁというのが第一印象。彼女の影響を受けた若手作家って結構多いのかもしれない。森絵都もそうみたいだし。ふわふわした文章の中にちょっぴりシビアな物語が入っていて、失ったものと再生を描いている感じが似ているかなぁと。

今はバレーボールから離れているけど根っこの部分が体育系の高校講師の「清」と文学大好きな唯一の文芸部員垣内君との遣り取りが微笑ましい。垣内君は清と同じような経験をしているけれど、それを乗り越えている。卒業のときに読み上げた文章がすんごい本好きの人達の気持ちを代弁している、ここんとこが一番好きだ。2人の別れも実にさりげなくて、高校生と新米講師とは思えないぐらい粋だ。もちっと描き込んでくれても良い気持ちもあるが、そうすると結構ドロドロしてくるだろうからこれぐらいの塩梅でいいのかも。