なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

 梨木香歩 「家守綺譚」 新潮社

家守綺譚 ISBN:4104299030

タイトルは「いえもりきたん」と読みます。最初、「やもり〜」と読んじゃったよー。装丁が渋くて良いね、この連作短編集(といって良いと思う)の時代設定と主人公の佇まいとマッチしていて好きだな。

学士で売れない文士の綿貫征四郎が主人公。ひょんなことから、湖で行方不明になった友達高堂の父親から家の守を頼まれて、住み込むようになって出遭ったものたちとは〜。妖精だったり、河童だったり、小鬼や狸やきつねとか。そして、行方不明になった高堂とも再会を果たす。彼は征四郎にとって異界のものたちの解説者みたいな役割。征四郎は、それらのものたちを恐がったりせず、ああいるんだなぁと受け入れている。そこらへんの遣り取りがまじめだけにおかしみがある。犬のゴローとのコンビやお隣のおかみさんとの会話も楽しい。

この小説の佇まいそのものが好きだ。高堂が現れてくる場所が、いかにも日本のファンタジーって感じで好きだわ。そう来るかーって感じ。タイトルも四季折々の花がついていて素敵だ。不思議なものに囲まれて、静かな生活を送り、自然を慈しんでいることが全編通じて伝わってくる。梨木香歩ってこういう描写をさせたらピカイチだよなぁ。