なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

 よしもとばなな デッドエンドの思い出 文藝春秋

デッドエンドの思い出 ISBN:4163220100

この人の作品を読むのは何年ぶりかと調べてみたら「とかげ」以来10年ぶりだった。彼女がデビューしてからしばらくは、この人でなければダメだと入れ込んで読んでいた時期があったなぁー。ご無沙汰していたけど、相変らず優しく迎え入れてくれた。

冒頭に藤子・F・不二雄先生に捧ぐと書いてある。「のび太ドラえもん」がしあわせの象徴として何篇かに登場してくる。あの頃はどうってことないと感じていた日々が過ぎ去って降り返ってみれば何と愛しいものだったんだろうと感じる事。これが全編に共通して流れているように思う。今もこれからも挫けてしまいそうなことがあるかもしれないけれど、この思いを知っている限り、やっていけそうな気がする。新しく次の1歩を踏み出せる強さもついてくる。確かに幸せだし守られていると思うけれど何となく負担に感じる家族の距離なんかも的確に表現されていて、あー、やはり私の世代の作家なんだなぁとしみじみ。