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どうってことない日々のあれこれ

観た

*[MOVIE]あなたの名前を呼べたなら

2018年 インド・フランス 上映時間:99分

監督:ロヘナ・ゲラ 出演:ティロタマ・ショーム、ヴィヴェーク・ゴーンバル、ギータンジャリ・クルカルニー他

ムンバイの高層マンションに住む御曹司アシュヴィンと彼に仕えるメイドのラトナの身分違いの恋だとありがちな感じになるところだけど、これは恋愛映画と見せつつも、人として向き合うとか尊重することがメインじゃないかなぁと思った。

カースト制度は依然として残っていて、ラトナは結婚4か月にして未亡人となり、口減らしのため嫁ぎ先から出稼ぎに出される。前に読んだ「三つ編み」でもインドの未亡人がどれだけ不遇な立場に追いやれるかという描写があった。一生物乞いとして生きなければならないとか、財産があれば、実子ですら母親を焼き殺すなんてことがあるらしい。そして、都会に出稼ぎに来たラトナはデザイナーを夢見て、洋裁学校に通い始める。これって、住み込みで実家に妹の学費を送金しつつ、自分の学校の学費を作るのは並大抵のことではないと思う。彼女の秘めた意志や情熱が、普段無表情だけに、その時にみせる微笑みで学ぶ楽しみや喜びが爆発しているのがすごく伝わってくる。

アシュヴィンは実は婚約者の浮気が原因で破談となり、傷心のわけです。そして、アメリカ帰り。自由な生活を知っている彼は、今でも残っているインドの因習に疑問を持っているようで、主人が使用人の食事をしてるところに顔を出して、一緒に帰ろうと言いに行く場面が出てくる。実際のところ、主人と使用人が同じ車に乗るってこともないだろうなぁと思う。つか、使用人は食事をするときは床に座るのか、と思って驚いた。

前にインドのSAみたいなところで、トイレに人が座るスペースがあって、蹲るように座っていた女性がいて衝撃だったことを思い出した。

ラトナは、垣根を越えてくるアシュヴィンに対してずっと「sir」と呼びかける。名前を呼ぶことはない。アシュヴィンは、彼女に恋するけれど、彼女は彼を諭す。そして、彼が彼女に贈ったもの。自立への一歩。最後のセリフでぐっと来てしまった。この一言の為のタイトルなんだなぁ。

ラトナのファッションが素敵だった。デリーで、あんなお洒落なサリーを着ている人は見掛けなかった。観光地しか行ってないからかな。

ガネーシャのお祭りが、楽しそうだった。

エンディングはやっぱりマサラっぽい歌だった。元気出る。