なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

帚木蓬生 守教 新潮社

守教 上

守教 上

守教 下

守教 下

隠れキリシタンは、長崎のイメージだったが、この小説の舞台は久留米。
私は、弾圧までされて、それでも信仰を捨てずに、守り続けるということが
よくわからなくて、素朴な疑問を持ち続けているわけだけど、
この作品を読んで、明解な回答が出てくることもない。
ただ、人の心は、誰かによって閉ざされるものでは決してないのだ、ということと、
次世代に繋いでいくことの難しさとそれ故の尊さを、久留米の大庄屋の一族の歴史を通じて、垣間見ることができた。
あと、現代よりも、むしろ多様性を認めている人たちが出てくるのに、驚かされる。
むしろ、弾圧こそはないけれど、現代のほうが、いろんなことに了見が狭くなってきているような気がする。
棄教する村人がいて、信仰を捨てない村人がいて、お互いがそれを裏切りとせず、認め合う場面が象徴的。
お互いの価値観を認めて、理解してる。
この作品で、気になる歴史上の人物が沢山でてくる。
できれば、スピンオフ作品を作ってほしいけれども、あのスケジュールでは難しいだろうなぁ。