なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

選挙

2007年 日・米 時間:120分 配給:アステア
監督:想田和弘 出演:山内和彦/山内さゆり他(ドキュメンタリ)

KAVCにて鑑賞

ひたすら選挙運動を映し続けるだけの映画で、2時間も上映時間があるのに、何でこんなに面白いのだろう。
全体通じて思ったのは、政治家というのは、「なる」のではなくて「作られる」ものなのだということ。
選挙運動を効率よく行っていくシステムやマニュアルが既に出来上がっていて、そこからはみ出ることが許されない。
山内和彦氏こと「山さん」は、多分会社勤めというか組織の中で働いたことがないらしく、
何か要領が悪くて見てられない感じで、自民党の選挙運動を一緒にしている人たちも私と同じように感じていたのに
違いなく、始終怒られっ放しなのだ。でも、2週間という限られた期間の中で、効率よく動いていくのに、
説明をする時間もないのは同情する。周囲の「これだから素人は」的視線にぶち切れないのは、その人柄ゆえなのか。
これが「山さん」の人間としての魅力かもしれない。
奥さんのゆかりさんが当選したら仕事をやめるべきだと言われて、ぶち切れて「市会議員ごときで辞められるかっつーの」って
2人きりの車中で話している場面などは、面白いんだが、これを見て、自民党の人たちはどう思うのかしらって
見ている方がハラハラさせられた。彼らの「素人」っぽい選挙に対する疑問は、見ている私にも同感できるものばかりだった。

いよいよ、当確が正式に出るかどうかって時に、山さん夫妻は選挙事務所に現れない。
なんか、先行きが案じられると思った。後で、すっごく怒られたんだろうね(笑)

この映画そのものは、面白かったんだけど、山さんは本当に政治の世界に入りたかったんだろうか。
これをとっかかりにして、国政にまで打って出るよって野望とかあったのか?
人柄が良いのは、わかるんだけど、どうしても当選したいっていつ熱意が最後まで感じられなかった。
落下傘候補」だから、貧乏くじを引いてしまったって思いはあるんだろうけど、
何か常に他人事みたいな感じなのよね。それを周囲の人たちにも伝わっていたんだろうと思った。

この映画は山さんが当選するまでを映しているが、この選挙は補欠選挙からして、2年後にまた選挙を戦う羽目になる。
今度は他の自民党からの候補者とも戦わなければならない。この調子でやっていけるのか、と思ったら、
今年4月の統一地方選挙には出馬せず、任期満了で引退したそうだ。あきれてしまう。有権者を馬鹿にしているのかと思う。