なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

エレニの旅

2004年 ギリシャ・フランス・イタリア・ドイツ 配給:フランス映画社 時間:170分
監督:テオ・アンゲロプロス 出演:アレクサンドラ・アイディニ/ニコス・プルサニデイス/ヨルゴス・アルメニス

KAVCにて鑑賞

170分という上映時間にかなり引き気味で、恐る恐ると言った感じで足を運んだのだけど、全然退屈とは無縁だったよ。むしろ、この時間はこの作品には必要な時間だった。ギリシャの歴史は内紛、侵略と常にヨーロッパの小さな国々と同じように、安定した時期を過ごしたことがない。おまけに天災もある。エレニの人生もまた、養親との結婚、その息子との駆け落ち、そこから内戦、第2次世界大戦の参戦と内外からの環境の変化に翻弄されていく。曇天の空と同じように、エレニの心が晴れる日はそんなに多くなかったかも。映像は圧倒されるほど完璧な美しさで物語を見せてくれるけれど、その中身との落差がなおさら際立っているのだなぁ。

CGを使ってないそうだけど、あの「ニューオデッサ」の村の風景が特に水害で全滅状態になった風景が圧巻だった。どうやって作り上げたのだろう。後は、アレクシスとの別れの場面が、セーターの糸がほどかれていって、最後にぷつっと離れていくところが、印象的。