なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

絲山秋子 海の仙人 新潮社

海の仙人

海の仙人

読み終わった後にむっちゃ感動した!って感じではなく、しみじみと余韻を味わいたい感じ。


主人公の勝雄を含むデパートの同期3人組のそれぞれの思いと絶妙な距離感が好きだ。やはり、片桐にはワタクシ肩入れしてしまいますが。この世代って、疲れているよなぁ。倦んでいる感じというのか、やっと夢から醒めて現実を知ってしまった年頃なのかもしれない。孤独という言葉を自分のものとして実感する、受け入れ始めるのが、今なのかもーと思う。
そこにアクセントとして「ファンタジー」が登場する。いきなり、「ファンタジー」かよ、と半分あきれつつも、彼のただそこにいる意味がとても深い。何もしないけれど、大きな存在感。孤独は寂しいと等しいわけじゃなく、最初からそこにあったのかも。それを象徴する人(モノ?)なのかもしれない。
勝雄の恋人のかりんの存在は希薄だったのが、ちょっと残念。なんか、そこだけとってつけた印象になってしまった。

他の作品も読んでみたい。