なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

タッチ・オブ・スパイス

2003年 ギリシャ 配給:ギャガ・コミュニケーションズ 時間:107分
監督:タソス・プオロメティス 出演:ジョージ・コラフェイス他

シネカノン神戸にて鑑賞

ギリシャ映画なのに、料理がトルコっぽいなぁ、ギリシャって至極あっさりしたというか、もっと素朴な色合いの料理が多いんじゃなかったっけ?と思ったら、最初の舞台はトルコだった。香辛料を扱う店を営むおじいさんと孫との会話は、含蓄があって味わい深く、一番心暖まる場面で好きだ。香辛料と宇宙を結びつける発想が新鮮。
ギリシャ版「ニューシネマパラダイス」って宣伝にあったけれど、実はこの映画のテーマはもっと重たいものだった。大人になるまで、おじいさんと孫の交流は続くものとばかり思っていたら、キプロス絡みの問題で、トルコ在住のギリシャ人はギリシャ強制移住させられることになる。おじいさんはトルコ籍、娘婿はギリシャ人なので離れ離れになる。1つトルコに残れる条件は、回教に改宗すること。宗教は信仰の問題ではなくて、1つの民族としてのアイデンティだってこと。国籍が違っていても、全ての生活の基盤がそこにあれば、その土地が故郷であること。
島国に住んでいると、この問題に直面することはまずないので、その葛藤は遥かに想像を超える辛さかもしれない。それを絶妙な味付けで重くせずに仕上げたのがこの作品なのではないかと思う。だからこそ、ギリシャで大ヒットしたのではないかなぁ?
初恋の女性と再会して別れる場面が、じんと来た。彼女を思う気持ちも恋愛感情だけじゃなくて、郷愁も重なっているから、結構複雑かも。失うものが大きいなぁ。
正直、この映画のテーマをちゃんと汲み取っているかは自信ないです。でも、何かしら残るものがある。一体、どんなスパイスを使ったんでしょ?も少し、塩を効かせてくれても私としては良かったかなぁーなんて思ったり。