なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

トニー滝谷

2004年 日本 配給:東京テアトル 時間:75分
監督:市川準 出演:イッセー尾形/宮沢りえ 他
原作:村上春樹
レキシントンの幽霊 (文春文庫)

村上春樹の原作は未読ながら、この人の作品の印象は「うまいんだけど、体温が感じられないんだよねー」と映画の中でトニー滝谷が同級生に言われた言葉そのまんま。そして、この作品もそのまんまの空気を感じた。なので、村上春樹っぽいってことでは合格ともいえるのかなぁ?どうでしょうか。

もう、のっけから「何て哀しいんだろう」と思い、最後まで観て「あぁ、やっぱり哀しいなぁ」。トニー滝谷の悲しさは寂しいことが寂しいと感じられない欠落した部分の悲しさで、映子はそのことをわかっている悲しさ。だから、映子は少し湿り気のある女性だ。それが、トニー滝谷にも沁みてきた。映子を失ってからの後半の悲しみは前半とまったく性質の異なるものだ。市川準の作品を全て観たわけではないけれど、なぜだか私が観たものはどれも悲しみに溢れていると感じられるものばかりだった。今回もそうだった。監督は、悲しさを表現させたらピカイチなのかもしれない。

決して好きなストーリーじゃないけど、印象に残る作品。

先日、宮沢りえのスタイルブックを立ち読みしていて、ホント洋服を着るために生まれてきた人だなぁと惚れ惚れしながら見ていたが、映画の中ではあんまり着せ替え人形状態じゃなかった。それでも、素敵だったけれど。その変わり、足元が映し出されるのだ。色んなタイプの靴と華奢な足首。きっと、制作費の都合で洋服まで行かなかったから、靴なのかしらんと思ったけど、なんか良い感じだった。

トニー滝谷のメイキング・ドキュメント「晴れた家」は、もしかしたら、これ以上に面白いかもしれない(笑)

イッセー尾形がお見事でした。一人芝居でも「トニー滝谷」できそうだ。でも、映像では学生時代はちときつかったか。

山本浩司が出演していたのにはびつくり。一緒に弁当を食べていたのがそうなのかな?

シネカノン神戸にて観賞