なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

こんばんは

2003年 日本 配給:「こんばんは」上映事務局・ポレポレ東中野 時間:92分
監督:森康行 出演:墨田区立立花中学校夜間学級

墨田区立立花中学校の夜間学級のドキュメンタリ。映画の撮影に入る前に1年間学校と付き合ってきたそうで、教師や生徒の話もそのせいだか胸襟を開いて話しているという印象を受けた。

生徒の事情は様々で、貧困で学校に行けなかった人、外国から来日してきた人、不登校児とか。なので、生徒の年齢層も16歳から91歳まで幅広い。その中で、昔自分の通っていた学校を通りかかったら、夜間中学の案内板を見つけて、すごく心引かれて、でもなかなか入学できなくて、何度も何度も案内板を見に行って、ようやく仕事の借金を返したので、大学生の孫に「これから、じいちゃんは道楽をするけど、何も言わずに見守っていてくれ」といった男性の告白には、思いきり涙腺が緩んでしまった。学校行くことが道楽だなんてことはないんだよー。当たり前の権利なんだよ、って思った。でも、それが許されなかった事情を考えると、たまらなくなった。それでも、この人は頑張って仕事をして、家族を作って、孫は大学に行かせられる環境にある。そこまで頑張った人の道楽が「学ぶこと」なのだ。他の生徒さんの話もそれぞれ胸に響いた。

学校の授業も、そんな生徒たちの事情を考えて、実生活に役立つ漢字を厳選して教えている。国語の授業は人生経験豊富な人達だけの意見が飛び交っていて楽しそうだった。ホントの授業ってこういうものなんだろうなぁ。自分の意見を自分の言葉で話して、文章にするというのは、昼間の授業ではなかなか出来ないことだと思う。それから「学ぶ」ことは独りでもできるけど、同じ気持ちの仲間と机を並べることも必要なことだと、学校の在りかたはこうであるべきだと思う。

ホントに楽しそうに掃除をしたり、学校行事に参加して、遅くてもやっと手に入れた学校生活を満喫している姿を見て、こちらが励まされる思いにもなったりした。

KAVCにて鑑賞