なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

接吻

2006年 日本 時間:108分 配給:ファントムフィルム
監督:万田邦敏 出演:小池栄子/豊川悦司/仲村トオル

シネ・リーブル神戸にて

最初から釘付けだった。小池栄子はもっと評価されるべき役者さんじゃないかなぁ。あんまり話題にならないというか、公開館が少なくてもったいない。
会社で、言いように使われている寂しいOLの京子が無差別殺人犯を見て、何かしらのシンパシーを感じたのか、新聞を買い集め、丹念に木に取り、彼にまつわることを調べ上げ、丁寧にそれをノートに美しい字でそれを書き記していく。その場面を見ただけで、慄然としてしまう。ひたむきと言うよりも、狂気を感じる。彼女が、犯人の中に見つけた恐ろしいまでの孤独感を分かち合うというのか、自分こそが彼の最大の理解者だと確信して、差し入れを続けていくところも、暗い笑みを見てしまって、願わくば、凶悪犯がずっと彼女が自分の心の中に入るのをずっと拒否し続けて欲しいと思うぐらい、観ている側も混乱してしまうんだが。弁護士もなぜかしら京子に引かれてしまうって、弁護士がそこまで引きづられてどうすんのって展開です。彼女が、犯人の兄のところまで出向くようになったら、ホラー以上の怖さだった。ストーカーを通り越すと何になるんだろって思ったぐらい。彼女の行動力と思いは段々と強くなり、激しくなるのだ。
一方で、犯人は、京子を通じて、初めて人と深く関わるようになったのか、段々と外の世界に目を向けるようになっていく。これが人間としての情に目覚めるってことなのだと思うんだけども。彼女が彼に求めていることは、そうではないってことで迎えるラストが恐ろしかったです。誰かと気持ちを分かち合うことを全否定するんだから。すごい心の闇を見せられちゃったって感じです。タイトルの「接吻」がこんなところで使われるのか。暑くても、汗ひきますから。嫌な汗はかきますけども。