なんてつメモ

どうってことない日々のあれこれ

 家族善哉・彼女の部屋

家族善哉

家族善哉

軽妙なタッチなんだけど、家族同士が違いにどう思っているかってことはかなりシビアにリアルに描いていて、そこのバランスが絶妙。母親と娘は、どこでもこんな風に冷静に見ているものなんだなぁと共感してみたり、感心したり。しかし、母親が高校の同級生って状況は娘にとってかなりキツイだろうなぁ。それにしても、男どもがヘタレ過ぎで情けなく滑稽でそれでも真剣な様子がたまらなく良いです。家族は実に見事なバランスで構成されているもの。それが立派だってことでは決してなく、割れ鍋に閉じ蓋だけども、1つの共同体としては機能できているのよね。
彼女の部屋

彼女の部屋

短編集なんだけども、どれも心の隅でちらっと感じるけど、何となく流してしまうものを、丁寧に掬い上げたって感じがする。短編集の1つ「父帰る」は、実際ありえないだろうってことが起きるわけだけども、「これもあり」でその現実を受け入れる家族の大らかさにとても安らぎを覚える。その掬い上げる行為にも、許せるものと許せないものを分けている。そこの判断基準が何だか安心できる人だなぁと好感が持てる。なので、これからも読み続けていきたい作家の一人なのだ。