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どうってことない日々のあれこれ

観た なぜ君は総理大臣になれないのか

今日も、塚口サンサン劇場へ。財布を忘れてきたのに気付いたのは、下車寸前。何と言うことでしょう。カードがあったので、良かったけど…

*【MOVIE】なぜ君は総理大臣になれないのか

2020年 日本 時間:116分

監督:大島 新 出演:小川淳也 

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とても刺激的なタイトル。小川淳也議員は、現在立憲民主党所属。そりゃ総理大臣になれないよねって思うでしょ?それが観ていくうちに、この人に政治を任せてみたら、どうなるんだろうという期待を抱かせる。そして、彼が総理になれるには、何が欠けているのだろう、と考えてしまう。そして、後半から涙が止まらない。そんなつもりで観たわけじゃないのにな…

そんな気持ちにさせられるのは、この作品の撮影期間が17年という長いスパンで撮られていることも大きいと思う。小川議員が初めての出馬で落選から始まって、初当選の時の意気込み。党内での立ち位置や民主党の解体から立憲民主党へそして希望の党への合流、そして希望の党の解党で無所属からの立憲民主党への復党。そこで、自分の信条とは別のところで派閥の人間関係によるしがらみで悩む、考えるの繰り返し。17年間で、最初の希望に満ちた表情よりも、苦悩する表情が増えてくる。それは国会議員になって、政治を変えるという意気込みとは別次元の悩みでもある。大人の事情ってやつである。それでも、信念を曲げずに貫き通そうとしている議員がいる、そのことに政治に希望を託してもいいのではないのか、と思う。だから、私たちは安易な気持ちで一票を投じることはできないのだ、と改めて思った。自分に投じられた票の重みと他の候補者に投じられた票の重みをどのように受け止められるのか、彼の発言に、民主主義は、多数決で決めるだけのものじゃないという至極真っ当なことに改めて気づかされた。

それから、彼を取り巻く家族や秘書や後援会の人たち。17年の年月がそうさせるのか、カメラを回っているのわかってますかー?というぐらい、結構ざっくばらんな発言をしているのが興味深い。もしからしたら、それぐらい選挙運動は過酷なのか…ただ、彼の周囲の人たちが、彼の熱い思いが報われるようにと力を尽くしている姿に感動した。だって、この選挙区、対立候補は地元新聞社の一族で三世議員で自民党所属。ネガティブキャンペーンもできるよ!圧倒的に強いのが火を見るのに明らかなのに、それでもずっと戦わないといけない…なので、選挙区で当選したのは1回、後は比例代表で復活当選を果たしている。で、比例代表の当選回数は、選挙区の当選回数により、党内の立場が弱くなるらしいです。知らなかった!選挙には奥様と一緒に娘さんまで「たすき」を掛けて、自転車を漕いでみたり、商店街を歩いてみたり、電話を有権者にかけて観たり、その姿にも心を打たれる。私は、そういう同情票狙いみたいなのはどうなのよって思うけれど、商店街のおじさんなんかは「家族でがんばっているのがいいよ」みたいなリアクション。そうじゃなくて、彼の政策とか信条とかに興味を持ってあげてよ、と思う。でも、今の選挙制度では、そこまで精査できる期間もない、とりあえず名前を覚えてもらえることが始めなきゃいけないのが、もどかしいなと思う。選挙公報も、投票日数日前に届くのも何なんだよって思う。(私は期日前投票派なので、困るんですよ。)

彼の香川での住まいが4万7千円のアパートってのも驚きです。清貧!杉村太蔵がテレビで話していたけれど、落選議員のなかには、生活保護を受けている人が少なからずいるとか。選挙ってお金が掛かるんだなぁ。そりゃ、あれだけ人を動かしての選挙活動だもの。スマイル赤坂は凄いな!それでも、政治を変えたい気持ちを持ち続けているなら、応援したいと思ってしまうではないか。彼以外にもそういう志がある議員や議員候補がいるはずなんだろうと信じたい。人を信じたいと久しぶりに思いました。

映画を観て改めて思うのは、小池百合子の破壊力。希望の党、での「排除宣言」から解党までの動きを見ていて、えぐいことするよなと思っていたけれど、彼女はそこにいろんな人たちに影響を及ぼしたことを考えたことがあるのだろうか。小川議員と対極だよな。あの人は、何を目指しているんだろうか。政治の世界で生きていくのは、こんな老獪な手段を使わなくても、やっていけることを示してほしい、誰か。